「嫌われない勇気」は、ダイヤモンド社刊、岸見一郎・古賀史健著作による、自己啓発本です。「大切な人に贈りたい」本として、213万部を突破し、史上初の6年連続トップ5入りするほど、ロング&ベストセラーの本です。
|
著者の岸見一郎さんは1956年京都生まれの哲学者で、専門はプラトン哲学などの西洋古代哲学ですが、1989年からアドラー心理学を研究されています。精力的にアドラー心理学や古代哲学の執筆や講演活動を行っており、本書では原案を担当しています。
古賀史健さんは1973年生まれのライターでビジネス書やノンフィクションで数多くのゼストセラーを手掛けています。20代の終わりにアドラー心理学と出会い、衝撃を受け、何年にもわたり京都の岸見一郎さんのもとに通いました。
今回はアドラー心理学「嫌われない勇気」あらすじと感想についてお伝えします。
アドラー心理学とは?
アドラー心理学とは、オーストラリア出身の心理学者・精神科医アルフレッド・アドラーが提唱した心理学です。
フロイトやユングが提唱した心理学の常識では「トラウマ(原因)があるから○○ができない」という原因論ですが、アドラー心理学では「○○ができないのは、傷つきたくないという目的を果たすためである」という「目的論」を唱えました。
アドラーの残した名言には、
- 人生とは誰かに与えられるものではなく、自ら選択するものであり、自分がどう生きるかを選ぶのは自分である。
- あなたは他者の期待を満たすために生きているのではないし、私も他者の期待を満たすために生きているのではない。他者の期待など、満たす必要はない。
- 「変えられないもの」に執着するのではなく、目の前の「変えられるもの」を直視する。
などがあります。
「嫌われる勇気」のあらすじ
かつて1000年の都と謳われた古都のはずれに住む哲学者は「世界はどこまでもシンプルであり、人は今日からでも幸せになれる」と説いていました。
その哲学者のもとに、一人の青年が訪れました。青年は多くの劣等感を抱え、幸せの対極にいたため、哲学者の「人は変われる」という主張に、始めは拒絶反応を示していました。
しかし、青年は哲学者と対話を繰り返すうち、自分の「全ての悩みが人間関係によるものである」と説かれ、アドラー心理学の目的論、トラウマの否定により過去に支配されない生き方、課題の分離、ライフスタイル、共同体感覚を学び、自分自身を苦しめていた物が自分の「選んだもの」であったことを知ります。
- 変われないのは自らに対して「変わらない」という決心をしているから。
- 世界や自分への意味づけ(ライフスタイル)を変えれば、変わらざるを得なくなる。
- 劣等感は主観的な思い込みである。
- 人生のタスクとは、自立すること、社会と調和して暮らせること。
- 「能力がある」という意識と「仲間である」と言う意識が重要であること
- 課題の分離は対人関係の最終目的ではなく、入り口であること
- 対人関係のゴール
- 勇気づけ
- 価値
について学ぶことで、嫌われる勇気を持つことを、次第に恐れなくなっていくのでした。
「嫌われる勇気」を読んで得たこと、感想
自分自身の悩みとして、風邪ではないのに、仕事中に咳が止まらなくなる、ということがあります。
咳が出る原因は「職場の空気が埃っぽいから」、「ハウスダストにアレルギー反応が起こるから」と考えていましたが、アドラー心理学的に考えると、「お客様(仕事)と向き合うストレスから逃れたい」と言う目的を果たすために、咳が出る状態を自分で選んでいるのかもしれない、と考えることができるな、と思いました。
自分にとって、お客様や仕事と向き合うことは、頭で考えると好きだし、しなくてはならないことですが、深層心理ではストレスを感じていたのかもしれません。
コロナ禍のバタバタにより、仕事の日数が減り、働く時間が短くなったことで、最近は咳が出なくなったのですが、それもストレスから解放され、気持ちに余裕ができたからだと考えることができます。
また、日頃子育てをしていて、子どもが「自ら受験をしたい」と言ったので塾に行かせることにしたのに、ゲームばかりして全然勉強しない、と言うことにイライラを募らせていました。
が、塾を行かせること(月謝を払うこと)は親の仕事だけれども、受験するのも、ゲームをやめないのも、勉強しないのも私の課題ではない、と気持ちを切り離すことができたことで、少しイライラから解放されました。
人はいつの間にか、無意識に心理的に負担となることを積み重ねていきがちですが、自分の物でない課題も自分の物であるかのように積み重ねてしまっているので、自分の課題でないものは切り捨てて負担を軽くする、と言うのはとても大事なことだと思いました。
この本を読むことで、日頃のモヤモヤした心の中の霧がスッキリ晴れた感じがします。
ありのままの自分で良い=自己受容、という考え方がしっくりきました。
読む価値ある一冊だと思います。